民泊運営のトラブルの正体は「物件」ではない

この「民泊.hub in 九州」を運営し、これまでのご相談件数は200件を超えました。非常にありがたいことです。
その中で、どうしてもオーナーとのトラブルは発生してきました。
私たち運営側と、オーナーがどうしてもうまくいかず契約を解除させていただいたこともありました。

傾向として、物件自体に大きな問題はないのに、話がうまく進まなくなるケースをよく見かけます。

一方で、多少条件が厳しくても、驚くほどスムーズに運営が続くケースもあります。

この違いは、経験年数でも、知識量でも、資金力でもありません。
決定的な差は、オーナー自身の“考え方”です。

また、私たち「民泊.hub in 九州」は、コミュニティポリシーとして、
オーナーが自身で民泊運営できるようにする。ことこそ最優先課題だと思っています。

民泊は人が関わる事業です。
だからこそ、揉めるオーナーと、揉めないオーナーには、はっきりとした傾向があります。

今回は、現場で実際に起きてきた事例をもとに、
「民泊オーナー診断その⑥|揉めるオーナー、揉めないオーナー」を整理します。

揉めるオーナーの特徴①:「期待値」が言語化されていない

揉めるオーナーに共通するのは、
自分の中にある期待値を、きちんと言葉にしていないことです。

たとえば、

・月にいくらくらい残れば「成功」なのか
・空室が出たとき、どこまで許容できるのか
・トラブル時はスピード重視なのか、コスト重視なのか
・運営側にどこまで裁量を持たせたいのか

こうした前提が共有されないまま、
「まあ常識の範囲で」「プロに任せているから」という感覚で進んでしまう。

すると、運営が始まってから初めて
「思っていた収支と違う」「そこまで聞いていない」
という不満が表に出てきます。

実例:後から要求が大きくなる

実際にあったお話しをします。

そのお客様は、別荘をお持ちでした。
その別荘を自分たちが使わないときは民泊として運営したいという相談内容でした。

なので、当時の私たちはエリア外ではあったものの開業支援からコンサルティングを行いました。
私たちは事前にいくらぐらいの収入を想定されているかをオーナーさんに尋ねました。
すると

「別荘に向かうまでの交通費」

との回答でした。

正直、観光地とはいえ、九州の中でも観光需要が高いエリアではなく、大型リゾートホテルなどの競合が多い。
都市部からのアクセスが良好のため、その観光地にわざわざ宿泊しなくても良い。
この利益想定であれば可能でした。

しかし、いざ運営が始まると「利益率が低い」とオーナーが騒ぎ出しました。
ちなみにオーナー送金分は売上の35~45%程度です。運営タイプは「完全運営代行」です。

この数値がいかに高いかの説明は置いとくとして、
このように後からオーナーの要求が大きくなることは良くあります。

これは、どちらが悪いという話ではありません。
期待値が言語化・共有されていない状態では、ズレが起きて当然なのです。

どれだけ誠実に運営していても、
ゴールの位置が違えば、評価は噛み合いません。

そのようなオーナーに対しては、私たちの方からお断りさせていただくこともあります。

揉めるオーナーの特徴②:他責思考がベースにある

揉めるオーナーに多いもう一つの特徴は、
うまくいかない原因を、常に自分以外に求めてしまうことです。

たとえば、

・「清掃の質が悪いから評価が下がった」
・「運営会社の価格設定が弱い」
・「このエリアはそもそも需要がない」
・「最近のゲストの質が落ちている」

こうした指摘自体が、間違っているわけではありません。
実際、改善すべき点が含まれていることも多いです。

ただ問題なのは、そこにオーナー自身の判断や設計が一切含まれない場合です。

価格帯をどう設定したのか。
ターゲットをどう想定したのか。
初期投資と回収計画は現実的だったのか。

こうした前提を振り返らないまま、
結果だけを外部要因として処理してしまうと、
改善の打ち手は見えてきません。

民泊は「任せた瞬間に別物になる事業」ではありません。
オーナーの意思決定が、運営結果に直接影響し続ける事業です。

その前提を共有できないと、
対話は改善ではなく、責任の押し付け合いになってしまいます。

揉めないオーナーの特徴①

大事な事:民泊を「共同でつくる事業」と捉えている

揉めないオーナーに共通しているのは、
民泊を完全に任せきるサービスではなく、
一緒に組み立てていく事業として捉えている点です。

たとえば、

・数字の報告を「評価」ではなく「材料」として受け取る
・想定外の出来事が起きたときも、原因を一緒に整理する
・改善提案に対して、まずは検討する姿勢を持つ

こうしたスタンスがあると、運営側とのやり取りは自然と建設的になります。

民泊は、始めた瞬間に自動で回り続ける事業ではありません。
市場の動き、ゲストの傾向、季節要因などに応じて、
調整と判断が常に求められます。

揉めないオーナーは、その変化を「トラブル」ではなく、
事業の一部として受け止めているのです。

揉めないオーナーの特徴②

役割と限界を最初に理解している

揉めないオーナーほど、
運営を始める前の段階で、
役割分担と限界点を正しく理解しています。

たとえば、

・運営側ができること、できないこと
・コントロール可能な要素と、できない外部要因
・どこから先はオーナー判断になるのか

こうした点を曖昧にせず、
「期待しすぎない設計」を最初からしているのが特徴です。

だからこそ、
思い通りにいかない場面があっても、
不満ではなく「次の打ち手」の話ができます。

民泊運営で長く続く関係は、
信頼だけで成り立っているわけではありません。
理解と前提共有があるからこそ、信頼が積み上がるのです。

結論|民泊で揉めるかどうかは、最初にほぼ決まっている

民泊運営で起きるトラブルの多くは、
運営が始まってから突然発生するものではありません。

実際には、
・期待値が共有されていない
・責任の所在が曖昧なまま進んでいる
・民泊を「任せるもの」として捉えている

こうした状態のままスタートした結果として、
後からズレが表面化しているケースがほとんどです。

一方で、揉めないオーナーは、特別な知識や経験を持っているわけではありません。

・民泊を事業として捉えている
・自分の判断も結果に影響すると理解している
・運営側と前提を共有しながら進めている

この姿勢があるかどうか。
それだけで、民泊運営の難易度は大きく変わります。

民泊は、
「誰と、どんな前提で始めるか」がすべてです。

物件や立地の前に、
まずオーナー自身のスタンスを整理すること。
それが、民泊オーナー診断その⑥の結論です。

投稿者プロフィール

M.master
M.master