第2回|民泊って稼げるの?数字で見る民泊の収支のリアル

こんにちは、「民泊.hub in 九州」ブログ担当のMahoです。
第2回の今回は、みなさんが一番気になるであろうテーマに切り込みます。
そう…「民泊って、実際どれくらい稼げるの?」という素朴でリアルな疑問です。

ネットやSNSでは「月◯◯万円の副収入!」なんてキラキラした声があふれていますが、実際のところはどうなのでしょうか?
運営にかかる費用、予約サイトの手数料、清掃費…そして手元に残る金額は?
このブログでは、具体的な数字と事例をもとに、民泊運営の「リアルな収支」をわかりやすくお伝えします。

グラフ

はじめに|副収入を求めて始める民泊

「民泊って、実際どれくらい儲かるの?」 これは、相談を受けるなかで最も多く寄せられる質問のひとつです。始める目的は人それぞれですが、“民泊の収支の現実”を把握しておくことは、継続できるかどうかの分かれ目になります。 収入だけを見て始めたものの、思わぬ経費に追われて撤退する人もいれば、工夫と地道な運営で安定収入を得ている人もいます。

この記事では、民泊で実際にどれくらいの収入が見込めるのか、経費や稼働率などの視点から“リアル”な収支の考え方をお伝えします。

2つの方法

民泊の種類と前提条件の違い

民泊には大きく分けて以下の2つの形態があることを押さえておきましょう:

  • 住宅宿泊事業(いわゆる"民泊新法"):年間180日以内の営業制限あり(国土交通省 観光庁 民泊制度ポータル参照)。個人でも比較的始めやすいが、営業日数に限界がある。
  • 旅館業法に基づく簡易宿所営業:営業日数の制限はなし。ただし、施設の構造要件(広さ・玄関区分・消防設備など)や保健所の許可基準をクリアする必要がある(東京都福祉保健局|旅館業許可の手続き参照)。

この記事では、民泊の収支モデルを考える上で主に「住宅宿泊事業(180日制限あり)」を想定した事例を紹介しつつ、「旅館業ベース」の場合の違いにも触れていきます。


初期投資に必要なものと費用の目安

民泊を始めるには、収支に直結する日々の運営経費だけでなく、最初に必要な「初期投資」も見逃せません。 代表的な初期費用とその目安は以下のとおりです。

  • 家具・家電類:ベッド、布団、テーブル、冷蔵庫、洗濯機など(10万〜30万円)
  • 備品・消耗品の初期セット:タオル、シャンプー、食器、調理器具、Wi-Fiルーター等(5万〜10万円)
  • 内装や清掃関連の整備費:ハウスクリーニング、DIY・リフォーム費用(5万〜15万円)
  • 許認可申請・図面作成費(旅館業の場合):行政書士・建築士費用など(10万〜30万円)
  • 写真撮影・Airbnb登録支援(必要に応じて):プロ撮影や代行サポート(1万〜5万円)

物件の状況や目指すクオリティによって異なりますが、自己所有物件で簡易な民泊を始める場合でも20万〜30万円、賃貸+許可取得で本格的に始める場合は50万円以上かかることもあります。


民泊の売上は「1泊単価 × 稼働日数」で決まる

まず基本となる考え方は、

収入 = 1泊あたりの単価 × 稼働日数(月)

たとえば、1泊あたり1万5,000円の価格で、月15日稼働すれば、

1.5万円 × 15日= 22万5,000円(売上)

ただしここから経費が引かれます。


主な経費項目と相場感

売上から差し引かれる代表的な経費には、以下があります。

  • 清掃費(外注の場合 1回4,000円〜6,000円)
  • 光熱費・水道代(月1万〜2万円)
  • 消耗品・リネン代(トイレットペーパー、タオル、洗剤など 月5,000〜1万円)
  • 民泊代行・予約管理手数料(10〜20%)
  • Airbnbなどのプラットフォーム手数料(売上の3%程度)(Airbnb公式|サービス手数料
  • 固定資産税や家賃(物件の所有形態によって変動)

これらを差し引いた実質の手取りが「民泊で稼げる金額」となります。


シミュレーション:ワンルーム民泊の例

  • 賃貸マンション(家賃8万円)
  • 1泊単価:12,000円
  • 月稼働率:60%(約18泊)

【売上】 12,000円 × 18泊 = 216,000円

【経費】

  • 家賃:80,000円
  • 光熱費:15,000円
  • 消耗品:8,000円
  • 清掃費(5,000円×9回):45,000円
  • Airbnb手数料(3%):6,480円

→ 合計経費:154,480円

【利益(手取り)】 216,000円 − 154,480円 = 61,520(月)

ここから、確定申告時の所得税・住民税も考慮する必要があります。


じゃあ「稼げない」のか?

こうした試算を見ると、「思ったより儲からない」と感じるかもしれません。

ただし、

  • 自宅の空き部屋を使う場合(家賃なし)
  • 清掃を自分で行う場合
  • 稼働率が80%以上に安定している場合

などは、利益が倍近くになるケースもあります。 また、シーズン(GW・夏休み・年末年始)で単価を上げる戦略をとることで、平均売上を底上げできます。


旅館業法で運営する場合の可能性と注意点

では、「もう少し本格的にやってみたい」「180日の営業制限では足りない」という方にとって、選択肢となるのが旅館業法による運営  です。

旅館業法の許可が取得できるかどうかは、自治体ごとに異なる条例や用途地域の制限が関係します。たとえば、商業地域や一部の準住居地域では比較的許可が出やすい一方で、第一種住居地域やマンションの住戸などでは制限が厳しいことが多くなります。

福岡市、札幌市、大阪市などの政令指定都市では、特定の条件下で住宅地でも旅館業を認めているケースもあり、地方自治体の「条例」と「建築用途地域」の確認が不可欠です(東京都福祉保健局|旅館業許可の手続き)。

今回のシミュレーションでは「住宅宿泊事業(180日制限)」を前提にしてきましたが、もし「旅館業法(簡易宿所)」の許可を取得して運営する場合は、年間を通して営業できるという大きなメリットがあります。

たとえば、同じ条件で稼働率60%だった場合、住宅宿泊事業では年180日の上限に達してしまいますが、旅館業法では上限がないため、

12,000円 × 25泊 × 12か月 = 年間360万円の売上も可能

というように、営業日数の制限がない分だけ、収益チャンスは大きく広がるのです。

ただし、注意点としては:

  • 保健所の定める構造設備基準を満たす必要がある(例:床面積、玄関の区分、トイレや洗面台の設置)
  • 消防法令への適合(感知器や避難経路の確保など)
  • 許可取得のための申請手続きや改修コストがかかる(数十万円規模になることも)

特にマンションの一室などでは、建物管理規約や近隣住民との関係もハードルになりやすいため、旅館業法での運営を目指す場合は、事前に行政・専門家への相談が不可欠です。


まとめ|民泊は「不労所得」ではないけれど「副収入」としては優秀

民泊は、設備投資と運営スキル次第で「黒字化」が可能なビジネスです。 ただし、SNSの夢のような収入報告だけを鵜呑みにせず、 自分の生活スタイルに合わせた収支シミュレーションをもとに検討することが大切です。

次回は「どんな物件が民泊に向いているのか?」をテーマに、物件選びのポイントをお伝えします。


📌 次回:「この物件で本当にできる?【戸建て・マンション別】」

▶ 参考リンク:

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