住宅宿泊事業と旅館業の比較表
| 項目 | 住宅宿泊事業(民泊新法) | 旅館業(簡易宿所) |
|---|---|---|
| 根拠法 | 住宅宿泊事業法 | 旅館業法 |
| 手続き | 都道府県知事等への届出 | 都道府県知事(保健所設置市は市長)の許可 |
| 営業日数 | 年間180日以内。条例で、区域や期間の制限が追加されることがある | 制限なし(通年営業が可能) |
| 住居専用地域 | 営業できる(ただし、条例で制限する自治体がある) | 営業できない(建築基準法の用途地域の制限) |
| 建築基準法上の扱い | 「住宅」のまま。用途変更には該当しない | 「ホテル・旅館」の扱い。住宅からの用途変更に該当する |
| 用途変更の手続き | 不要 | 200㎡を超える場合は確認申請が必要。200㎡以下でも、建築基準法への適合は必要 |
| 構造設備の基準 | 台所・浴室・便所・洗面設備の設置など。居室は宿泊者1人あたり3.3㎡以上 | 客室の面積などの基準が、旅館業法で定められている |
| 消防 | 消防法令への適合が必要 | 消防法令への適合が必要。用途の変更により、設備が増えることが多い |
| 初期費用の傾向 | 比較的抑えやすい | 用途変更・消防設備・改修で、大きくなる場合がある |
※一般的な内容をまとめたものです。自治体によって取り扱いが異なります。必ず、物件の所在地の保健所・建築指導課・消防署にご確認ください。
営業日数の違い
住宅宿泊事業では、1年間(4月1日正午から翌年の4月1日正午まで)に宿泊させる日数が、180日以内と定められています。さらに、自治体の条例によって、区域や期間を定めた制限が加えられることがあります。上限を超えて営業すると、旅館業法違反になるおそれがあります。
旅館業には、営業日数の制限はありません。年間を通じて稼働させたい場合や、日数制限のリスクを避けたい場合は、旅館業が候補になります。
立地(用途地域)の違い
住宅宿泊事業は、住居専用地域でも営業できます。ただし、自治体の条例で、住居専用地域での営業を制限している例があります。
旅館業(簡易宿所を含む)は、建築基準法上「ホテル・旅館」として扱われるため、第一種・第二種の低層住居専用地域、第一種・第二種の中高層住居専用地域などでは営業できません。購入を検討する物件が、どの用途地域にあるかは、最初に確認する必要があります。
建物・工事の違い
旅館業を始める場合、住宅からホテル・旅館への用途変更に該当します。延べ面積が200㎡を超える場合は、建築確認の手続きが必要です。200㎡以下で手続きが不要な場合も、建築基準法や消防法への適合は必要で、非常用照明の設置や間仕切り壁の仕様変更などの改修が必要になることがあります。
住宅宿泊事業は、住宅のまま営業するため、用途変更の手続きは不要です。ただし、消防や安全措置など、必要な対応があります。
どちらを選ぶか:考え方
旅館業が候補になりやすいケース
- 年間を通じて稼働させたい
- 営業日数の上限や、条例による制限の変更リスクを避けたい
- 用途地域が、旅館業を営める地域である
- 用途変更や消防設備などの初期費用を、事業計画に織り込める
住宅宿泊事業が候補になりやすいケース
- 住居専用地域などで、旅館業が営めない
- 初期費用を抑えて始めたい
- 年間180日以内の稼働でも、事業として成り立つ見込みがある
どちらが適しているかは、物件ごとに異なります。民泊.hub in 九州では、購入前の段階で、営業形態の可否と必要な工事を調査し、事業としての見通しを整理します。
購入前に確認すること
- 物件の用途地域
- 建築基準法への適合状況(検査済証の有無、用途変更の要否)
- 消防設備に必要な工事
- 自治体の条例(営業日数、区域、期間の制限)
- 近隣への騒音対策と、管理体制
- 改修費・消防設備・家具家電などの初期費用
購入前の調査について詳しくは、民泊物件のご案内(購入ページ)や、物件購入相談フォームをご覧ください。
参考にした公的資料
- 富山県「旅館業及び住宅宿泊事業の概要」
- 神戸市「旅館業(旅館ホテル、簡易宿所)と住宅宿泊事業(民泊)の違いについて」
- 墨田区「ホテル・旅館、民泊などの宿泊事業を検討されている皆様へ」
- 山形県「用途変更に伴う建築確認の要否と適用される主な規定」
- 観光庁「営業日数超過民泊物件の仲介の防止に向けた措置について」(令和2年11月16日)
確認日:2026年10月4日。制度や条例は変更されることがあります。許認可や建築基準法・消防法への適合については、必ず物件所在地の行政窓口や専門家にご確認ください。本ページは、法的な助言を行うものではありません。
最終更新日:2026年10月4日
